医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導、介護保険の居宅療養管理指導

                 の実施に関する調査の中の質問事項に対する回答

 

訪問のきっかけ又は訪問の流れ業務の流れ図

 訪問指示のある処方箋が薬局に来ます。情報提供書や指示書がついてくることもありますが、口頭で指示が出ることもあります。

 医師が往診していなければ「通院困難の患者」で「医師の指示」があれば算定要件を満たします。

 在宅チェックリスト(訪問前、訪問時、訪問後に準備する書類の一覧)

 

訪問薬剤管理指導の対象となる患者要件などの基準

「在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なもの」となっているが、具体的なケースが示されているわけではありません。少なくとも通院時に家族や介護者の助けが必要な場合は通院困難であると解釈でき、完全に寝たきりでなくても、認知機能や身体機能が低下した結果、通院が困難になっている場合も算定対象となりえます。

 

医療保険と介護保険の手続きの違い

介護認定の有無を介護保険証で確認してください。介護保険利用の場合、要介護度、認定日、認定有効期間を必ず確認してください。この場合は、調剤報酬とは別に介護報酬として国保連合会に請求します。

医療保険の場合は、調剤料をはじめ管理指導料など全て調剤報酬として請求します。

 

届出事項や薬局内掲示物及び取り揃えておくべき書類など

@在宅患者訪問薬剤管理指導に係る届出(届出@)

関東信越厚生局

A介護給付費の請求及び受領に関する届出(届出A)

国保連合会介護保険担当者

B生活保護法指定介護及び

中国残留邦人等支援法指定介護機関指定申請書
(届出B)

都道府県の生活保護の担当部署

C居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導事業所の指定に係る記載事項の届出

都道府県の介護保険の担当部署(埼玉県はみなし指定のため不要)

D運営規定の概要(掲示@)

 

E介護保険サービス提供事業所としての掲示
(掲示A)

 

F訪問薬剤管理指導の届出を行っている旨の掲示
(掲示B)

 

 

医療材料、衛生材料の提供及び費用負担

ガーゼなどの医療材料は診療報酬の項目において包括的に評価されていますが、中心静脈栄養セットなど、材料価格が個別に設定され評価されているものについては、保険請求することが認められています。

処方箋により保険薬局が交付出来る特定医療材料(医療材料)

在宅療養患者への供給に薬局が関与することが望ましい医療材料(医療材料)

 

 

無菌調剤室提供薬局

薬剤師会の中で、提供薬局を決め、無菌調剤が必要であれば、紹介できる体制を取っていきたいと考えます。

 

高齢者住宅や施設の入所者に対する訪問薬剤管理指導

医師やケアスタッフと情報共有し、入所者の方を支えていきます。

医師の診察に同行してお薬の提案をしたり、飲み合わせや残薬のチェックを行います

通常は処方箋毎に算定(350単位)します。(算定の間隔は7日以上必要))

医療保険者対象者は300点を算定します。主となる疾病以外の臨時処方(他の医療機関の処方や風邪薬など)に関しては、薬剤服用歴管理指導料の算定可能です。

特別養護老人ホームに入所している患者に対して薬学的管理を行った場合の評価

(H28改定で新設)

 

医師・歯科医師からの訪問指示

訪問指示があれば算定要件を満たします。必要な書類を用意し、ケアマネと連携を取り、患者と契約を結びます。

 

管理指導計画の作成

 原則、患者さん宅を訪問する前に、処方医、他医療関係者と情報を共有しながら策定します。

 訪問のつど内容を見直し、月1回策定します。(文書E)

 

在宅と外来処方の応需の方法や調剤上の違い

外来処方の場合は、患者が処方箋を薬局に持ち込むことになりますが、在宅の場合は色々な場面が想定されます。

@   患者宅から訪問を望む薬局へファックス⇒薬局にて調剤し患者宅訪問⇒原本と持参薬が相違ないことを確認し調剤完了

A   医療機関が患者の希望する薬局へファックス⇒薬局にて調剤し患者宅訪問⇒原本と相違ないことを確認し調剤完了(患者が選定した薬局であることが大前提)

B   介助者による処方箋の薬局持ち込み⇒薬局で調剤⇒患者宅訪問

C   薬局が患家に処方箋を取りに行く⇒薬局で調剤⇒改めて患者宅訪問(時間的ロスが多いが、ごく近所であれば問題ない)

調剤後の薬について薬剤管理服薬指導を行う点については、外来処方と全く同じです。

 

訪問時の確認事項(事務的なものを含む)

医師から薬局へ

@   医師から「訪問指示」の旨が記載された処方箋が必要

A   診察情報提供書など(訪問薬剤管理指導依頼書・情報提供書)(文書@)

この患者情報は、薬学的管理指導計画書を作成するときに必要になります。

 

薬局から患者様へ

説明・同意・契約

それぞれ2部作成し、1部を患者様、1部を薬局で保管する。

@   要介護・要支援認定を受けている方(同意と契約が必要)

・居宅療養管理指導サービスに係る重要事項説明書(文書A)

・居宅療養管理指導契約書(文書B)

A   認定を受けていない方(医療保険対象)(同意のみ)

・訪問薬剤管理指導に係る説明書(文書C)

 

訪問記録(薬歴)や報告書(情報提供)

薬局で準備するもの

@   訪問薬剤管理指導記録簿⇒薬歴

 

A   医師への報告書(居宅療養管理指導についてはケアマネへの情報提供も必要)

(文書D)

 

B   薬学的管理指導計画書(訪問のつど内容を見直し、月1回策定)(文書E)

   ⇒医師に報告の必要はない

 

AとBをまとめた報告書(文書F)

 

 

保険請求(レセプト作成方法等)

@在宅患者訪問薬剤管理指導料

 調剤レセプトに訪問した日付、回数の記載が必要(レセプト例@)

 

A居宅療養管理指導費

調剤レセプトに【介】と訪問した日付、回数の記載が必要(レセプト例A)

 

   使用するレセプト用紙

    介護給付費請求書:様式第一(様式@)

    居宅サービス給付費明細書:様式第二(様式A)

    介護予防サービス給付費明細書:様式第二の二(様式B)

 

 

各種指導料、加算の要件等

薬学的管理指導業務の点数

処方箋で算定できる通常のお薬代に加えて以下の点数を算定(負担割合に応じて異なります)

 1割負担の場合

@   在宅患者訪問薬剤管理指導    650点  (※300点)

(医療保険・介護認定非該当の方)

A   (介護予防)居宅療養管理指導  503点  (※352点)

(要支援・要介護の方)

※同一建物居住者

 

   薬剤服用歴管理指導料など薬学管理料は算定しない。

   患家と薬局所在地との距離16kmの制限

  

麻薬などの特別な薬剤が使用されている場合

   1回について100円(1割)、200円(2割)

  薬剤師一人につき1週間当たり40回に限り算定(H28年改正)  

  同一世帯に居住する複数患者⇒一人目は同一建物居住者以外として算定(H28改正)

 

 在宅患者調剤加算について

 下記の条件を満たした場合、在宅で訪問薬剤管理の加算を算定している患者様に対する調剤を行った際に、処方箋受付1回につき15点を加算する。

   @過去1年間の実績(訪問薬剤管理の実績10回以上)

   A医療、衛生材料を供給できる体制

   B在宅業務実施体制に係る周知

   C麻薬小売業者の免許を受けていること

 施設基準として以下の届出が必要

  在宅患者調剤加算の施設基準に係る届出書添付書類(様式C)

  特掲診療料の施設基準に係る届出書(様式D)